昭和8(1933)年、当社は北海道産ブナ材の利用開発に着目して北海道上磯郡木古内町に製材工場を取得し、材ハ製作株式会社(本社・名古屋市中区西古渡町)を設立した。同工場ははじめ浅野セメント株式会社北海道工場の樽材製材所として創設されたものであった。セメントの樽詰の廃止に伴ってこれを買収した。ブナは、北海道
ブナ材の本格的な利用は、防腐技術とともに人工乾燥技術の整った昭和初期のころである。昭和7(1932)年農林省山林局がブナ材の利用開発に着手。翌年には水中貯木場や人口乾燥装置を備えた製材並びに加工工場を全国各地に設置した。木古内工場は、こうした時期に操業を始めたのである。
当社はまず第一に国鉄(現・ JR )枕木、木管、曲木、家具材等への販路開拓に力を尽くした。一方、用材の伐出作業は現在のような機械設備がなく、冬期の積雪を利用しての馬そり出しを主とした運搬方法であった。冬期間といえども大雨による増水で雪道が流され、何千石という丸太を山奥に惜しげもなく残し、薪材に切断して流送したこともあった。
ブナ材は6月頃ともなると虫害、腐朽の害に侵されるため、これを予防し平均的に利用する目的で、昭和12(1937)年に水中貯木場(池)を拡張並びに増設した。これにより1万3000余石(約3,250t)の原木を貯木することができるようになり、事業は
材ハ木材株式会社は、昭和9(1934)年4月1日に資本金5万円で設立された。同年10月、従来の材ハ合資会社を合併し、資本金55万円に増資した。新会社の発足を機に社章を制定し、同年4月11日付で42人の社員全員に貸与した。この社章は、退職時には返納すること。また紛失などで再交付を受ける場合は、過怠金として月棒10分の1の徴収を規定している。
社章を登録商標に出願したのは昭和14(1939)年1月16日。同年6月1日に公告。9月11日に登録番号321183号をもって発効した。
十代ハ一郎
社章